研究会 第二回 / IRIS


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R-GIROプログラム「電子書籍普及に伴う読書バリアフリー化の総合的研究」(IRIS)第2回研究会

日時:2011年5月6日(金)15:00~17:00
場所:立命館大学国際平和ミュージアム(アクセス、外部リンク) 3F教員研究室

報告:山田 肇(東洋大学経済学部教授)
「情報アクセシビリティを求める世の中の動向」

 2011年5月6日に開催されたIRIS第2回研究会では、「情報アクセシビリティを求める世の中の動向」というタイトルで山田肇先生(東洋大学)にご報告いただきました。
 山田先生は、JIS規格のうちX8341シリーズと総称される「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス」制定の中心人物となった方です。「このような情報通信技術のアクセシビリティ標準化の取り組みは日本において世界に先がけて行われてきたのであり、ISO 9241-20、WCAG2.0、ITU-T F.790といった規格の国際標準化において日本は世界に貢献してきた。また、国際基準化の際に加わった要素をさらにJIS規格に盛り込むことでJIS規格が、諸外国の専門家の知恵によって改善されていく仕組みが成立する」とのお話でした。
 最も興味深く議論が集中したのは、各国の国際標準化への対応の違いです。「国際標準に対応するために作られる委員会は、日本と欧米では組織のされ方が全く異なり、欧米では障害者を含め多種多様な市民が自己推薦に近い形で参加している。一方で日本の場合は学識経験者中心である。この結果、欧米では情報アクセシビリティ配慮製品を公共機関で調達することが義務化されているが、日本ではされないという違いが出ている。この差は、市場のままに任せていたらひかれる〈主流製品がカバーする範囲〉と〈支援技術がカバーする範囲〉の限界線を政策によって左側にずらそうとする努力の違いとなって表れている。だからこそ、日本では公共調達での要件化が期待され、日常的・継続的に努力を求める活動を展開している」とのお話でした。
 これに対する質疑応答では、「公共調達というのが一つのアクセシビリティを実現化する有力な方法論としてある点には同意するが、それ以外にも方法が必要なのではないか」という質問がありました。山田先生からは、「何にでも公の組織が出てきて強制する必要はなく、個人利用で製品寿命が短いものに関しては、多様な製品が市場に提供され百人百様に選べることが重要である。一方で公共性が高く、製品寿命が長い分野に関してはきちんと注意を喚起しておかないと完全に排除されてしまう人がでてくる。こういう事柄に関しては公共調達という方法が有効だと考える」との回答がありました。
 終了間際まで白熱した議論が交わされ、大変有意義な研究会となりました。(青木千帆子)

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